2017年4月25日火曜日

斎藤強三さんらの「ひらがな標準配列」

梅棹忠夫さんの『知的生産の技術』(p.142)でもふれられている、斎藤強三さん(1899-1989)らのひらがなタイプライター用の「ひらがな標準配列」の仕様をしらべることができた。

ひらがな・ローマ字のコンビネーション タイプの仕様は次のとおり:

ノーマル面:
ぬへふひはほもまみめやゆ
 けくきかこのなにおえよ
 てつちたとんあいう゛を
 せすしさそわらりるれ
※ 各指で子音をそろえている。
  
シフト面:
023456789むゃゅ
 qwertyuiopょ
 asdfghjkl゜ね
 zxcvbnmっ。ろ
※ 1はlで代用か。

設計は1963年頃のものになるよう。「50音配列」ともいわれていたそうで、
  • 左手側に濁点のつく字を配置、
  • 50音の行ごとにキーをまとめる、
という構成はスティックニーの原則のまま。ひらがな専用タイプではシフト面で小書きの「ぁぃぅぇぉ」などもうてるようにされていたよう。

ドボラック博士とも交流のあった川上晃さんとの共同開発とのことで、斎藤さんも「ひらがな標準配列」をドボラックの研究を参考にして開発した、とされている。スティックニーの配列からの明確な改良点としては、濁点の位置を上段から中断にうつされている点があげられるだろう。また、出現頻度のひくい文字のおおい、は行やま行のキーを最上段に配置していて、上中下3段でなるべくおおくの文字を入力できるようにしたことがうかがえる。

ただ、Dvorak配列から類推されるような新JIS配列のようなものにはされなかった点は興味ぶかい。実際には、スティックニーの原則を保持したまま、 各指で子音をそろえ、よりおぼえやすさを重視して、コンビネーション タイプにされたものになっているようにみえる。

当時すでにあったコンビネーション タイプのカタカナ タイプライターは、スティックニーの配列のシフト面のカナを右外においだしてしまっていた。そのため、50音の行ごとのキーまとまりがくずれてしまっていた(それがのちに改悪といわれているJIS配列になってしまった)。「ひらがな標準配列」では、その点を一番の問題とされたのだろう。

もっとも、コンビネーション タイプではさけられないとはいえ、「ひらがな標準配列」は、「やゆよを」を4段10列の外側に配置してしまっている点では、スティックニーの配列よりも不利にみえる。梅棹さん自身はひらがなタイプライターでもカナモジカイのスティックニーの配列をつかわれつづけたことが『知的生産の技術』のなかにしるされている。

3段10列のニュー スティックニー配列では、ノーマル面とシフト面でなるべく子音をそろえる、ということをしている。各指の子音をそろえる、という点では「ひらがな標準配列」とちかいもののようにおもう。ひょっとすると斎藤さんなら、ニュー スティックニー配列にたいして、まだ性能よりに配列をつくりすぎ、という指摘をされるかもしれない。そんなふうに、おもったりしている。

参考文献: 『ひらがなタイプライターの文字配列』ほか, 美しい日本語を求めて =ローマ字運動と共に生きる=第2集, 斎藤強三先生の90才を祝う会, 1989.


0 件のコメント:

コメントを投稿