2014年4月23日水曜日

新キーボード プロジェクト? - NISSEの受注販売受付中です

このブログも前回から4ヶ月以上たってしまいました。前回、
ちなみにこの新キーボードを大量生産するという話はまったくありません(笑)。もし5セット以上需要がありそうであれば基板メーカーにまとめて作ってもらうようにもう少し進めてみますので、基板だけでもほしいという方がいましたらお気軽にご連絡下さい。
と書いて締めくくっていたのですが、その後予想以上の応援もあって、表題の通り新キーボートの完成品の受注生産を先月からはじめています。Google+などではお伝えしていましたが、毎回、話が飛び過ぎですね。

新キーボード、ニューキーボードと特に製品名をお知らせすることもなくここまできてしまっていましたが、NISSEという名前でお届けしています。ニッセというのは、赤い帽子をかぶった小人さんたちの北欧での呼び名です。このキーボードの中にも住んでいて、夜中プログラムのバグをこっそり直したりしてくれていたらいいな、と(笑)。
ESRILLE NEW KEYBOARD − NISSE

NISSEの完成品は、アルミ筐体になって下の写真のような形になりました。プロトタイプからは、小指まわりのキー配置をより打ちやすいように微調整したり、筐体にふだん手があたることがないように少しデザインを変更しています。

エスリル ニューキーボード − ニッセ (完成品)
購入をご希望の方は、NISSEの公式ページ http://www.esrille.com/keyboard/index.ja.html よりお申し込み頂けるようになっています。(いまのところ、日本国内向けのみになります。)

というわけで(?)、今回はGoogle+の方に書いたりしていたエルゴノミック キーボード関連のお話などを簡単にまとめておきます。

NISSE, TRON, M式, ...


海外のキーボードの記事でも、
A year 2014 version of the TRON keyboard is the Esrille New Keyboard. − Japan M-Type keyboard, TRON keyboard
とまとめられていたりと、NISSEの全体的な印象はオリジナルのμではないTRONキーボードと同じように感じられる方も多いようです。NISSEは、現在では残念ながら販売されていないけれども何年もオリジナルのTRONキーボードに小指の部分以外は一切不満はなかったという経験と、
  1. 基板サイズは片側最大15cmx20cm(DIYでも作りやすいように),
  2. キーピッチは18.8mm(広く流通しているMXスイッチのキーキャップをそのまま使えるように),
  3. あまりエルゴノミックし過ぎずデザインは控えめに,
という制約を決めた中でデザインしたものです。

TRONキーボードとの比較

上図はNISSEとTRONキーボードのキー配置を比較したものです。虹色がNISSE、アクアマリン色がTRONキーボード(Mサイズ)のキー配置です。TRONキーボードは、標準のMサイズのキーピッチが16mmとなっていてデジタイザの部分を除くと意外と小さなキーボードでした。

キーピッチについては、UC Berkeley校の昨年の研究[1]で、アメリカの指の長い男性でも17〜19mmではタイピング速度に違いがでないという結果が報告されています。そうであれば、手の小さい人のことを考えれば17mm近くまで小さくした方が、という流れが起きることが今後期待されているところです。

NISSEもはやくも17mm版に期待してくださる方もいらっしゃるのですが、現状ですと17mmのキーキャップを新規に金型から用意して、ということになってトータルのコストが現状以上になりそうなのが課題です。

そしてもうひとつ、ほとんど知られていなかったのではないかと思うのですが、NISSEにもっとよく似たキーボードが30年も前に試作されていたようです。

M式鍵盤の試作品 (NEC)
上の写真は、M式を考案された森田正典さんの論文[2]を昨年末にたまたま見ていて見つけたM式キーボードの試作品の写真です。時期的には1983年以前なのは間違いないなさそうです。M式キーボードもNISSEのように試作段階では扇型のキー配置だったものが、製品化の段階で格子状に近いキー配置に変更になったということのようです。その理由としては「この試作品に基づき,工業製品としての見地から改良を図った」とのことで、試作品の写真をよく見ると扇型に配置してできるキーとキーの隙間を埋めるようにキーキャップがデザインされていて、コスト等の問題があったのかもしれません。(キーピッチもフルピッチではないようにも見えます。)

ちなみにエルゴノミック キーボードの原点は、1934年にドイツのライプツィヒでJulius Kupfahlさんが発明されたタイプライターにまで遡れるようです。第2次世界大戦まではゆっくりと生産台数が伸びていっていたものの戦争によって製造が中断され、残念なことに戦後製造が再開されることはなかったそうです[3]。

まとめ


というわけで今回は兎にも角にも新キーボート改めNISSEの受注販売をはじめました、というお知らせでした。仕様等については公式ページを参照してください。特殊なドライバなしに通常のIMEを使って親指シフトやTRONかなを使って入力できる、という日本語キーボードとしての側面もあったりするのですが、その話はまた別の機会に。


[1] http://hfs.sagepub.com/content/55/3/557
[2] 日本文入力方式と鍵盤方式の最適化, 森田正典,電子情報通信学会論文誌 D Vol.J70-D, No.11, pp.2047-2057, 1987/11.
[3] http://books.google.co.jp/books?id=nwhpagXq2BMC&lpg=PA133&ots=1-Prs5u_iw&dq=daumenschalt%20tastatur%20Rheinmetall&hl=ja&pg=PA133#v=onepage&q&f=false
 

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