2013年11月2日土曜日

新キーボード プロジェクト? - モックアップの制作と立体配置の検討

今回は新キーボードの立体的な配置とハウジングについて、Google+に書き込んでいたものを整理しておきます。

新キーボードのモックアップ

モックアップ作り


前回までで平面図上では18.8mm改定版でOKな感じになってきたので、モックアップを作りながら、さらに立体的な形状についても確認していきます。


モックアップ作り

上図はプリント基板に見立てたスチレンボードにキーの配置図を貼り付けて、その上にキーキャップを置いてみたところです。(このやり方以外に、MXスイッチも入手済みであればスタイロフォームとかにスイッチごと刺してテストするという手もあります。)

今回、一番気を使っている、手首を固定したまま[6]キーまで指が届くフルピッチ キーボード、という設計意図は無事にクリアできた感じです。逆に発覚した問題点は、
  1. [→]キーがちょっと手のひらに当たってしまう、
  2. 一番外側の親指用のキーは外側に行き過ぎ、
という2点。この部分を先に修正していきます。

補足: ちなみに写真のMXスイッチのキーキャップは、FILCOのオンラインショプで購入したもの。WASD Keyboardsみたいにレーザー刻印までカスタマイズできる日も来たりするといいですね。:-)

キー配置調整


実際にキーキャップを配置してさわってみると、フルピッチではそれぞれの親指が4キーずつ担当するというのはちょっと無理があるということで、平面図を修正しました。

18.8mm(L) 平面図(調整版)

親指については左右3キーずつ担当するように計2キー減らしました。かわりに5段目に薬指用のキーを左右1キーずつ追加しています。また、カーソルキーは1ピッチ内側に寄せて、手のひらに当たることがないようにしました。

補足:  調整版の平面図には、ファンクションキーとPrtScnからNumLockまでの16キーも追加してあります(このへんはエルゴノミックである必要はそれほどないので一例です)。このレイアウトでは感光基板で自作する場合のために150mm×200mmの範囲に左右それぞれ収まるようにしてあります。(サンハヤトの卓上エッチング装置で簡単に作れるのがこの大きさまでなので。)

基板部分のモック

調整版では、手の小さいひとでも、5段目のCtrlキーと薬指用のキー(いわゆるWindowsキー)の間に手のひら側面を入れるような感じで使うと(縦1ピッチ分距離を稼げるので)、[5]や[6]キーまで楽に人差し指が届くようになるひとが多いんじゃないかな、と思います。

CtrlキーとSpaceバーの間の隙間


モックをさわりながら新キーボードのキー配置を直していて気づいたのは、CtrlキーといわゆるWindowsキーの間の隙間が意外と重要だったということ。手の小さい人は、この隙間に手のひら側面が来るようにすると指が届く範囲が縦1ピッチ分広がる感じになります。

この隙間、実はかつてはどのPCのキーボードにもあったものです。そして特に手の小さい人にとって、かつてCtrlキーとSpaceバーの間にあったこの隙間はたぶんすごい意味のあるものだったろうという気がします。

http://en.wikipedia.org/wiki/AT_keyboard より

今Windowキーを間違って押さないように手首を動かして数字キーを押している手の小さな人も、この隙間が残っていればもう少し簡単に押せた筈です。今でもゲーミングキーボードだと誤操作しないようにWindowsキーを無効化できるのがふつうになっていることからも、この位置が微妙な位置だということがうかがえます。

1981年のIBM PCキーボード以来PC/AT、PS/2のEnhancedキーボードまで守られていたこのわずかな隙間がWindows 95と一緒にWindowsキーで潰されてしまったのは、ちょっとした悲劇だったのかもしれません。

場所がなかったわけではなくて、スペースバーを分割しないといけなかった日本語用のAXキーボードでも、106キーボードでも、この隙間だけは残していたのにちょっと不思議な感じさえあります( http://www.pfu.fujitsu.com/hhkeyboard/kb_collection/ )。

もっとも最近のほとんど真っ平らなノートパソコンとかのキーボードでは問題ではなかったりするので、このことは再検証されることはもうないかもしれませんね。

立体配置とパームレストのデザイン ― 逆傾斜版


キー配置に残っていた問題も解消できたので、キーボードの立体的な配置についても、モックアップを作りながら検証していきます。

もともと新キーボードは微妙に前方に逆傾斜をかける方向で考えていたのでパームレストが必須です。前回載せたイメージ図のようにドーンと大きなパームレストをつけてしまうのが楽は楽なのだけれど、それだとあまりエルゴノミック、エルゴノミックさせない、という新キーボードの目標から遠くなってしまうのが難しいところでした。

逆傾斜版のモックアップ

新キーボードではCtrlキーといわゆるWindowsキーの間にスペースがあるので、もともとZキーの下から50mmほどメインパーツ上にもパームレスト に使える部分があります。

そこで上の写真のモックアップでは、必要最小限の大きさのパームレスト パーツを手前につけて、なるべくおとなしめなデザインにすることを目指しました。手前の追加パーツは奥行きが20mmあるので、この状態でパームレストの奥行きは計70mmになります。手の小さい人はこの状態で十分なひともいると思います。

このパームレスト パーツは手前に引き出すことができます。下の写真はパーツを手前に10mm引き出したところ。これで奥行き80mmになるので、ほとんどの人に十分な長さになっていると思います。

パームレスト ユニットを引き出したところ

最初からパーツの奥行きを30mmにしたらいいのに、という声もありそうですが、チルトスタンドとかキーボードにはこういうちょっと動くパーツがあった方が楽しいよね、というだけだったりします(笑)。

『前方向と横方向にそれぞれ10°傾斜』の謎


さて、組み立てたモックアップを見ながら最初の印象は、キーボードに逆傾斜をかけると中央部分がやっぱり高すぎだよなぁ、というものでした。赤い板の頂点の部分で5cm弱あります。ということでちょっと調査してみました。

モックアップは中央方向へは(エルゴノミック キーボードでよく採用されている)10度の傾斜がかかっているのだけれど、その根拠は「キーボードの人間工学的設計」という1986年の中迫勝先生の論文まで戻ることができました。 あらためて読んでみると「支持面を大きくするために前方向と横方向にそれぞれ10°傾斜させ、前腕全体を支持できるようにした」とあって、支持面(アーム レスト)を大きくすることがゴールで、そのためには10°くらいの傾斜が最適ということだったようです。

最近は前方向の傾斜は手首の負担を考えて否定されているけれど、もとの論文はそういったことを言っていたのではなくて、前腕全体を10°くらい傾斜した支持台の上に置けるとよい、と言っているだけだったんですね。実際に作られていたキーボードの支持面とキー部分の前方向の傾斜は0°。なんという。

となると、キーボードをコンパクトにすることの方が優先度が高ければ、論文にも書かれているように「キーボードの手前端の高さを低くすることによって机上面との段差をできるだけ小さくすれば、机上面を手・腕の支持台の延長として利用できると考えられる。」という考え方を優先してキーボードの立体配置を考えた方が良さそうです。

最近の薄いキーボードだと机のわりと奥の方にキーボードをおいて肘から先を全部机の上に置いて使うのは結構あたりまえのように思うけれど、昔のApple IIとかをみると実はキーボードは今では信じられないような高い位置( 机から5cmくらいありそう)にあったのが割とふつうだったという歴史があったみたいですね。

立体配置 第2版


前方向と横方向にそれぞれ10°傾斜、というよく言われている指針は、キーボード ユニット単独の傾斜のことではなくて支持台(アームレスト)に適した傾斜のことだったということがわかったので、新キーボードの設計方針を以下のように変更しました。
  1. メインのキーボードユニットはなるべくコンパクトにする。
  2. 逆傾斜などはもっと広大なアームレスト(≠パームレスト)とセットで考えることにして、メインのユニットとは切り離す。
ということで、傾斜は前方向と横方向にそれぞれ5°と控えな目な立体配置で作ってみたモックアップが下の写真になります。


新キーボードの立体配置

写真のものはMXスイッチを使う想定で組み立てているので、キーキャップの最下面から本体底面まで16mmの厚みがあります。この状態だと手前の段差が大き過ぎるので、実際に使うときには、カーソルキーの外側のラインからさらに手前に40mm位パームレストがないといけません。(逆に薄型のスイッチで組み立てる場合には、上の写真のように奥行き15cmほどで作ることができそうです。)

また自作等ではんだ付けを簡単に済ませたい場合はマイコンはDIP(Dual Inline Package)版を使うことになると思いますが、その場合上の写真のサイズに収めるのはちょっと難しそうです。

下の写真は、DIP版マイコンを使う場合の基板が緑色の板のサイズくらいになるので、これを手前中央に配置することにして、それを覆うような形でパームレスト部分を作ってみたものです。パームレストはZキーの下から手前に8cmとってあります。また全体の奥行きは約20cm、ほぼA4サイズになりました。

パームレスト一体型の新キーボードのモックアップ

まとめ


というわけで、今回はひとまず2つ目のモックアップが出来上がったところまでです。

実際に使用する場合は、机の上に前腕を置いて新キーボードのパームレストの上に手のひらを載せた姿勢で使う感じになります。この立体的な形状が本当に使いやすのか、疲れにくいのか、といったところは多少時間をかけて評価してみないとですね。

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