Shiki’s Weblog
新キーボード プロジェクト?
2013/10/13 #新キーボードプロジェクト
今回はキーボードのお話。僕はμではなくてオリジナルのTRONキーボードが好きで、でももう売っていないので仕方なくこれまで4台くらい自作して使っていたりします。
自作tron風キーボード(4代目)
ただこの4代目もスイッチがだいぶ劣化してきてしまって、先日Microsoft社のSculpt Ergonomic Keyboardに置き換えました(基板からになるので自作には結構時間がかかるのです)。そうすると気になる箇所が色々出てきてしまって、またキーボード熱が出てきてしまいました。そんなときにKeyboard.IOというプロジェクトがあるのを知って、改めてちょっとキーボードどうしよう、というお話をFacebookの方に書いていたのですが、長くなってしまったのでこちらにまとめておくことにしました。
エルゴノミック キーボード
ふつうのただの長方形のなかにキーを敷き詰めたキーボードと違って、人の手の形などを考慮したキーボードはエルゴノミック キーボードと呼ばれています。日本ではもう30年くらい前からM式とかTRONキーボードとかがある(あった)のだけれど、残念ながらほとんど普及していなくて、海外のKinesisやMicrosoft社のNatural keyboardなどが入手しやすいタイプのものになります。キーボードにこだわる人には、キーボードのスイッチ自体の良し悪しを大切にする人と、キーの配置を気にする人と、キーへの文字の割り当てにこだわる人の3種類がある感じです。 REALFORCEとか茶軸とかいう単語が聞こえたら前者の人たち、エルゴノミックとか人間工学とかいう単語が聞こえたら真ん中の人たち、DvorakとかNicolaとかいった単語が聞こえたら後者の人たちです。Kinesisは茶軸でエルゴノミックで、場合によってはDvorakだったりするので王様みたいな(価格も)ものですね。 そんな中でエルゴノミック キーボードは大抵変てこな形状をしていますが、それはパームレストに手を置いたまま指が届く範囲になるべくキーを置こうとしているからです。
キーの基本配置
TRONキーボード的な発想でふつうに指の届く範囲に主要なキーを置くと上図みたいになります(英語Qwerty配列で)。M式や Keyboard.IOプロジェクトの写真がだいたいこんな雰囲気ですね。 キーが縦一列に並んでいたり、文字以外のキーを親指や人差し指に持ってきている時点でもうだいぶ吹っ飛んでますね。 ただPC用の ちゃんとしたキーボードとして利用するには、ここからさらにあと4つほど記号キーをどこかに置かないといけないのですが、そこからが難しいところです。 大抵 のキーボードは余ったキーは右手の小指の外側に置いあります。まぁ、あんまりふだん使わないキーならそれでもいいか、というところしょう。 ただ急進的なエルゴノミック系のキーボードだと、そこを妥協しないでがんばりだすことになります。 デザインを左右対称にするのは基本中の基本です(笑)。 Truly-Ergonomicキーボードは 左側にキーを増やして 左右対称にすることでうまく記号キー配置していますね。Kinesisは横を1段増やして5行目に4つの記号キーを持ってきたりしています。 ただ中央から遠くにあるキーには やっぱり 小指はなかなか届きません。
とどけ小指!
問題は他の指よりも短い小指です。ふだん1と0は何指でタイプしていますか?教科書的な正解は小指です。でも小指が届かなくて薬指でタイプしている人が結構といると思います。 そこで積極的に1と0は簡単に指が届く薬指でタイプしてもらうことにして、小指をより自然な位置で使えるようにキーを配置しなおしたのが下図です(これで4キー届く範囲で増やせます)。
小指のキーを独立させて記号キーを配置
どっかで見たような?TRONキーボードほぼそのまんまになりましたね(笑)TRONキーボードもこのあたり、1と0は薬指でタイプするのを正解にしていそうです。
TRON配列( http://www.um.u-tokyo.ac.jp/DM_CD/DM_TECH/BTRON/PROJ/BTRON.HTM から)
30年ほど前のデザインなのに、TRONキーボード本当に良く出来ていますよね。ただ前の図よりもTRONキーボードはさらに4キー多い所為で小指周りが実はちょっと窮屈になってしまっています(僕の手だとキーピッチを15mmまで小さくしないと、小指の上段の4キーには小指が届きません。これは、TRONキーボードが日本語キーボードとして設計されたので変換、逆変換、英語、日本語と余分にキーを付けないといけなかった所為かなと思います )。 それから 一番外側のキーをタイプするときは、かなり小指を広げないといけないのもすこしきついところかもしれません。 以上のような点を踏まえて、 今風に作るとしたらこんな感じかなー、ということで描いてみたのが下図です。1と0に1段上に上がってもらって、4キー少ない小指のブロックを詰めてみました。こんな感じで コスト度外視でキートップまで扇型でデザインしたバージョンも見てみたい気がします。
もし今風に作るとしたら (左小指の`と\はひっくり返したほうが良さそうです)
清書
落書きだけだと実際の所よくわからない、ということでざっくりと清書してみました。
キーピッチ 17.5mm版
僕の手に合うキーピッチ17.5mmだと だいたい A4横いっぱいの大きさになります。カーソルを除いてすべてのキーにパームレストに手を置いたまま指が届けばOKですがどうでしょう。手の小さな人用にやっぱり15mm版もあった方がいい予感はしています。(逆にこういう手の形に合わせて開いたキーボードは標準的な19mmのキーピッチは相当手が大きい人じゃないと合わないように思います。)
まとめ
なんだかもう5代目をかなり作りたくなってるんですが、まだ時間的にしばらくは Sculpt Ergonomic Keyboardを使っていそうな感じです。もし作ってみたい、もう作る、みたいな人がいましたらご一報くださるとかなり嬉しいです。そのときは僕の分も◯△※# :P # ESウェブブラウザの話題はまた次回に。:-) 2013.10.14 ― 18.8mm版と17mm版について追記しました。
フルピッチ版
フルピッチ(18.8mm)版も用意しました。
キーピッチ 18.8mm版
左右に配置したCtrlキーは一般的な101キーボードと同じ位置にあります(このCtrlキーは小指用というよりかは手のひらの小指付近で押さえる用)。その上のInsとDelはメインの鍵盤には不要だけれど、一応小指が届く位置にも置けます、という感じです。 17.5mm版と比べると中指のキーが0.5段上に移動しているので全体的には結構巨大化しています。ただ意外と指が届く人も多そうな気がします。またフルピッチなので、CherryのMXスイッチと標準的なバラ売りされているキーキャップで作ることができるので、実際に作るときの手間と費用はこの方が抑えられそうですね。
17mm版
本命のキーピッチ17mm版です。 『 今風に作るとしたら…』ということで描いた画のイメージに合わせて、エルゴノミック キーボードにありがちな「何だこりゃ?」感をなるべく抑えてみました。
キーピッチ 17mm版
キーピッチを小さくするとデザインの自由度はあがる一方、あんまり窮屈にならないように気をつけないといけないのが難しいところ。この17mm版は、同じ指用のキーピッチは17mmですが、異なる指間では一番狭いX - C間で18mmあるので、手の小さい人から平均的な大きさの手の人まで使えるサイズだと思います。全幅は288mmとA4サイズに収まる大きさです。一般的なフルピッチのキーボードの全幅18.8*15=282mmとほとんど同じなので、11インチクラスのノートパソコンから合わせられそうなサイズになっています。部材等を準備できそうであれば18.8mm版よりもこちらの17mm版がおすすめです。MXスイッチを使いたい場合は、スイッチ本体は15.6mm四方しかないので、キーキャップの底側を削り取ると17mmピッチにすることもできます。